用語集

起業・スタートアップに関するキーワードをご紹介します。

アドボカシー活動

経営・事業戦略 

アドボカシー活動とは、社会的弱者やマイノリティの権利を擁護するため、彼らの主張を代弁し、政治・経済・社会などに訴えかける活動のことです。権利擁護活動や政策提言活動ともいいます。 アドボカシー活動の目的は大きく分けて2つあります。1つは社会的弱者やマイノリティの問題解決のため、現状の政策を変えるように行政などに直接訴えかける「政策提言」です。 もう1つは、社会課題解決のため、現在起きている課題を可視化し広く知らしめる「広報活動」「啓蒙活動」です。 アドボカシー活動の多くはNPO法人などの非営利団体が中心となって展開されていますが、近年はSDGs(持続可能な開発目標)が策定され、企業では社会課題解決を目的としたビジネスを展開する例が増えています。ビジネスへの賛同者を増やすためにも企業のアドボカシー活動が重要となっています。

アセットクラス

税務・会計 

アセットクラスとは、同じような値動きやリスク特性を持った投資対象の資産種類・分類のことです。国内債権、外国債券、国内株式、外国株式、不動産投資信託(REIT)、インフラファンド、プライベートエクイティ(未公開株式)などと分類されています。 異なるアセットクラスの間では値動きの相関がないか、もしくは負の相関(例:国内株式が下がると国内債権が上がる)があります。アセットクラスのこの特徴は、性格の異なる資産に分散して投資することでリスクを抑え、より安定した収益を上げる投資手法であるポートフォリオ運用に利用されています。 スタートアップは未上場企業であるため、アセットクラスとしてはプライベートエクイテに分類されます。近年、国内外の投資家から国内プライベートエクイティ投資への注目が高まっており、資金の流入量が増加しています。スタートアップにとっては資金調達がしやすい環境になってきているといえます。また、海外投資家に情報を提供するため英語の資料を配布するスタートアップも増加しているようです。

インパクト投資

資金調達・キャッシュフロー 

インパクト投資とは、従来の投資の目的である経済的なリターンの獲得だけでなく、投資を通じた社会的なリターンの獲得、つまり社会課題の解決を目的とした新たな投資のことです。もちろん従来の投資もより良い社会・未来をつくることを目的としていましたが、リスク・リターンの2つの軸で投資が評価され、短期的により多くのリターンを得られる投資に偏っていきました。 一方で世界は、貧困・格差・紛争・高齢化・気候変動など、様々な課題を抱えています。国連によるSDGs(持続可能な開発目標)の策定もあり、投資の世界では従来の投資への反省も踏まえ、社会的な影響(インパクト)を意図的に起こす投資活動が増加しています。 インパクト投資では、企業の非財務情報(事業計画・企業のリスクや機会・コーポレートガバナンス・SDGsへの取り組みなど)を投資判断に組み込みます。そのため企業ではこれら非財務情報を可視化し、積極的に公開する必要があります。

インキュベーション

支援プログラム・団体・機関 

インキュベーションとは、起業や事業創出をサポートするサービス・活動のことです。英単語「incubation」は「卵の孵化」を意味しますが、転じて新たな事業の誕生を促すことにも使われるようになりました。 インキュベーションを提供する企業や組織をインキュベーターと呼びます。インキュベーターの代表例は、VC(ベンチャーキャピタル)、自治体、大学、中小機構です。 インキュベーションでは、起業・経営のアドバイス、施設の提供、技術の提供、資金や資金調達機会の提供などにより、スムーズな起業・事業創出をサポートし、さらに企業が長期的・継続的に成長する仕組みを確立することも目指します。 スタートアップがインキュベーションによる支援を受ける方法としては、VCなどが参加者を募集するインキュベーションプログラムに応募して採択されることが一般的です。 スタートアップ支援には他にもアクセラレータープログラムというものもあります。こちらは、ある程度ビジネスアイデアが固まっているスタートアップを対象したもので、スタートアップの事業成長・拡大のサポートを目的としています。VCや大企業がビジネスプランを公募し、人・モノ・資金などのリソースを提供して短期的集中的な支援を行います。

エクイティファイナンス

資金調達・キャッシュフロー 

エクイティファイナンスとは、企業が行う資金調達方法(ファイナンス)のひとつで、新株を発行し事業に必要な資金を調達することをいいます。エクイティ(株式、株主資本)を増加させる資金調達であるためこのように呼ばれています。エクイティファイナンスは、「返済義務がない」「株主が経営に関与する」「全体の株式数が増え、1株あたりの株価の希薄化が起きる」といった特徴があります。主に事業の成長を目指すタイミングで実施する資金調達方法です。 また、資金調達方法として一般的な融資・ローンによる資金調達は、デットファイナンスと呼ばれています。金融機関からの融資以外にも社債の発行など第三者からの借入による資金調達もデットファイナンスといいます。デットファイナンスには「返済義務がある」「返済期限がある」「利息が発生する」「資金調達先が豊富」といった特徴があります。

エンジェル投資家

資金調達・キャッシュフロー 

創業直後のベンチャー企業に投資する個人投資家のことです。創業直後の企業は実績や信頼もなく資金調達が難しいのですが、そんな企業に投資をする天使のような存在であることから、エンジェル投資家と呼ばれています。 企業が生き残る確率は高くありませんが、大きく成長するベンチャー企業も存在します。エンジェル投資家は成長の可能性のあるベンチャー企業の株式を安い価格で取得し、将来の上場などで株価が高くなった際に売却して多くの利益を獲得します。 エンジェル投資家は引退した起業家・実業家が多く、次世代の起業家の育成や社会貢献などを目的に投資を行うことも一般的です。 エンジェル投資家を探すには、マッチングサイトを利用したり、ピッチイベントに参加したり、知り合いを通じて連絡を取ったり、SNSで直接連絡したりといった手段が考えられます。

オープンイノベーション

起業・開業・設立 

オープンイノベーションとは、積極的に外部と交流し、社内外の技術・アイデアなどのリソースをかけ合わせて新たな社会的価値を創造する取り組みのことです。 近年は著しい技術革新とグローバル化により、プロダクトやサービスが提供されてから需要がなくなり市場から消えるまでのサイクルが短くなっています。ひとつの企業・組織内だけでイノベーションを起こそうとすると、この市場の変化スピードについていけないため、外部のリソースを活用する必要性が出てきました。その方法のひとつがオープンイノベーションです。 大企業はオープンイノベーションの取り組みの一環として、協業できるスタートアップなどを公募するオープンイノベーションプログラムを開催しています。スタートアップは大企業の豊富なリソースを活用できるため、アイデアの事業化を加速させられます。

アップサイクル

経営・事業戦略 

アップサイクルとは、本来捨てられてしまう物に付加価値をもたせ、新たな製品としてアップグレードさせることです。創造的再利用とも呼ばれています。廃タイヤからサンダルを作ったり、野菜の芯や皮から野菜ペーストを作ったりする例があります。 アップサイクルと対になる概念にダウンサイクルがあります。こちらも廃棄物を新たな製品にする取り組みですが、もととなった物から価値が下がる、つまりダウングレードする点が異なります。例えば、毛羽立ったタオルを雑巾にすることなどがダウンサイクルにあたります。 アップサイクルはSDGsにおける取り組みの一環として環境負荷を減らすことに役立ちます。環境に優しい商品や取り組みは消費者への訴求力もあるため、多くのプロダクトやブランドが誕生しています。

アーリーアダプター

経営・事業戦略 

アーリーアダプターとは、流行に敏感で、自ら情報収集を行って購買を判断する消費者の層のことです。新たな商品やサービスの市場における普及率を示すマーケティング理論「イノベーター理論」で分類される5つの消費者タイプのひとつです。購買判断が早い順に「イノベーター」「アーリーアダプター」「アーリーマジョリティ」「レイトマジョリティ」「ラガード」と並んでいます。 アーリーアダプターは、早期に新しい商品・サービスを受け入れてくれる消費者層で、機能・メリットを吟味して購買を決めるため、口コミで機能・メリットを広めてくれるオピニオンリーダーでもあります。アーリーアダプターは全消費者のうち13.5%を占め、イノベーターと合わせると16%を占めます。アーリーアダプターと次の層であるアーリーマジョリティの間には深い溝があるため、この16%を超えられるかどうかはサービス・商品の普及の分かれ目であるといわれています。そのためアーリーアダプターはマーケティングにおいて特に重視されている消費者層です。

アクセラレーター

支援プログラム・団体・機関 

アクセラレーター(アクセラレータ)とは、加速器や、加速装置、促進剤といった意味を持つ英単語です。ビジネスの領域では、スタートアップの急激な成長を支援する組織のことをアクセラレーターと呼んでいます。主に大企業が資金・ノウハウ・ネットワークなどをスタートアップに提供し、新規事業創出・協業・投資目的で実施しています。実施方法としては、アクセラレータープログラムとしてビジネスアイデアを公募し、有望なスタートアップを選定して伴走支援する形をとることが一般的で、ある程度ビジネスアイデアが固まっているスタートアップを対象としています。スタートアップ支援としては他に、インキュベーターというものがあります。こちらはインキュベーター(孵卵器)という名前が表すように、起業したてのスタートアップを支援し、イノベーションアイデアを実現させることを目的としています。

一般社団法人

起業・開業・設立 

一般社団法人とは、2006年に改革された制度により、公益性の有無にかかわらず登記だけで設立できるようになった非営利法人です。よく勘違いされますが、非営利法人とは出資者に利益を分配してはいけないという意味で、活動・事業によって利益をあげたり、得た収益を従業員に給与として支払うなど団体の活動費用に充てることは問題はありません。 一般社団法人は、設立したあとに公益性を示し認定を受けることで公益社団法人となることができます。これにより寄付金控除や税制上の優遇措置を受けられるようになります。一方で公益性のある事業活動しかできなくなったり、行政庁の指導監督を受けることになるといった制約もあります。また、似た名称の法人に一般財団法人・公益財団法人があります。社団法人は人が集まった団体で、財団法人は財(物)が集まった団体です。財団法人では美術品の活用のため美術館を運営するといった目的などのために設立されます。

イグジット

経営・事業戦略 

イグジット(EXIT)とは、企業の創業者・ファンド・投資会社などが、所有する株式をM&A(売却)したり、IPO(上場、株式公開)したりすることで利益を得る出口戦略のことです。ハーベスティング(収穫)とも呼ばれます。起業したばかりのスタートアップは、まだ展開する事業がどのような利益をもたらすのかわからない状況にあるため、企業としての価値も低く、未公開株式の株価も高くはありません。そのためVC(ベンチャーキャピタル)などのファンドは、この未公開株式を買い、将来価値が向上した時に株を売って利益を得るというハイリスクハイリターンな投資を行っています。非上場の株式を売却することは難しいため、起業家はファンドからの出資を希望する場合は、将来M&AするのかIPOするのか、といったイグジットを明確にすることが重要なのです。