用語集

起業・スタートアップに関するキーワードをご紹介します。

デモデイ

支援プログラム・団体・機関 

デモデイとは、アクセラレータープログラムやインキュベーションプログラム、ビジネスプランコンテストなどにおける成果発表会のことです。多くは投資家や大企業に向けたプレゼンテーションという形で行われます。イベント会場を借り、事前に募集するなどして集めた一般参加者(聴衆)を入れて開催するほか、オンラインで配信する例もあります。 デモデイでは、有名な投資家や起業家などの審査員の審査を通じて、優れたアイデアに最優秀賞などの賞や賞金を授与することが一般的です。デモデイでの受賞は実績となり、今後のスタートアップの成長にプラスの影響があります。 起業家が聴衆として参加する場合は、革新的なプロダクト・サービスとそのビジネスプランを一度に知ることができるため、勉強の場としても重要です。オフラインのデモデイの場合は投資家と出会える可能性もあります。

ディープテック

経営・事業戦略 

ディープテック(Deep Tech)とは、具体的な製品・サービスとしての形が見えていないものの、形にできれば世界を変革できる可能性を持つ最先端の技術(テクノロジー)のことです。多くは大学などの研究機関や企業などで研究が続けられています。「深いところに眠っている技術」「深く根ざした問題を解決できる技術」といった意味合いを持ちます。 ディープテックを製品・サービスとして実現させるには、高度なスキルや、膨大な資金・時間が必要となります。さらには短期的な成果が出るものではないため、投資家などの目があまり向けられていませんでした。しかし、SDGs(持続可能な開発目標)の策定もあり、世界の根深い課題を解決する方法が求められ、その対象としてディープテックが注目されています。 ディープテックは研究機関などが開発した最先端技術を基盤とするため、大学発ベンチャーが中心となって事業を展開しています。

チャーンレート

経営・事業戦略 

チャーンレートとは、解約率や客離脱率、退会率のことで、チャーンと略されることもあります。 SaaSビジネスなど月額制のサービスを提供するビジネスであるサブスクリプションビジネスでは特に重要な指標です。サブスクビジネスでは、顧客に長く使ってもらうほど利益が出るため、チャーンレートは売上に直結した指標といえます。 チャーンレートを計測して分析することで、継続利用しているユーザーの割合や、ユーザーを1人獲得するのにかかるコスト(CPA)、ユーザーの離脱が収益に与える影響などを把握することが可能です。 ユーザーが解約する理由は様々ですが、サービスに不満があるなど、自社の対応で事前に解約を防げる場合もあります。チャーンレートを改善するには、解約手続き時にアンケートをとるなど、解約理由を把握することが重要です。

転換社債

資金調達・キャッシュフロー 

転換社債とは、あらかじめ決められた価格で株式に変えられる社債のことです。正式には転換社債型新株予約権付社債といいます。英語のConvertible Bondの頭文字を取り、CBと呼ばれる/書かれることも一般的です。 転換社債は企業の資金調達として発行されます。未上場企業において株式を利用した資金調達を行う際には、企業価値(株価)を算定する必要があります。これをバリュエーションといいますが、スタートアップではまだプロダクトが完成していないなどの理由でバリュエーションが困難となることがあります。転換社債による資金調達で発行するのは社債であるため、バリュエーションを先送りできます。この特徴から、特にシードラウンドにおける資金調達方法として利用されています。

特許庁

支援プログラム・団体・機関 

特許庁は産業財産権制度を管理している行政機関のひとつです。 産業財産権制度は、発明・デザイン・商標などの知的な創造物を保護・活用するための制度です。保護・活用できる権利には特許権(発明)・意匠権(デザイン)・商標権(マーク・ネーミング)・実用新案権(形・構造・組み合わせ)などがあり、これらを総称して産業財産権と呼びます。また、産業財産権と著作権を合わせて知的財産権(知財)と呼びます。 特許庁は、産業財産権の適切な付与の他に、企業の海外展開を支援するための知財インフラの提供、模倣品対策、中小企業・大学などに対する支援などを行っています。 また、特許庁はデザイン経営をさらに推進するため、2019年7月から「I-OPENプロジェクト」を開始しています。デザイン経営とはデザインの力をブランド構築やイノベーションの創出に活用する経営手法です。 「I-OPENプロジェクト」では、スタートアップ・非営利法人・個人事業主と、知財やビジネスの専門家のサポーターがチームをつくり、知財を活用した社会課題の解決ができるよう伴走支援を行っています。

デューデリジェンス

経営・事業戦略 

M&A(企業の買収と合併)などの際、買収対象の企業の財務などの情報を入手し、企業価値やリスクなどを詳しく調査します。これをデューデリジェンスといいます。 一般的なM&Aのプロセスでは、買収対象企業が自社の情報を開示し、買収者はその情報を基に暫定的な買取価格を算定し、基本合意書を締結します。その後デューデリジェンスを行い、買取価格が適切であるかを判断し、M&Aの最終的な意思決定を下します。 M&Aをイグジット戦略として捉えているスタートアップなどにとっては、デューデリジェンスは乗り越える必要がある難所です。もし紛争や訴訟などの大きなリスクがあると判明した場合は、M&Aが白紙になることもあります。そのためM&Aを目指すスタートアップはしっかりとした経営基盤・内部組織を構築しておく必要があります。

第三者割当増資

資金調達・キャッシュフロー 

第三者割当増資とは、企業の資金調達の手法のひとつで、特定の第三者に新たに発行する株式の購入権利を付与する増資のことです。第三者の多くは取引先企業・金融機関・自社役員・従業員などです。スタートアップなど上場していない企業でも実施できる資金調達として一般的な手法です。例えばスタートアップがベンチャーキャピタルや大企業などから資金調達をする場合、第三者割当増資としてベンチャーキャピタル・大企業に新株を割り当て、資金調達を行います。また資金調達以外にも、他企業との関係を深めることを目的に第三者割当増資を実施することもあります。 第三者割当増資には、返済の必要がない資金を手に入れられること、引受先との関係を強化できること、新しく株主となる者を自分で選べること、他の資金調達種手段と比べると手続きが比較的簡単で総数引受契約の活用で最短1日で発行できることなどのメリットがあります。

中小機構

支援プログラム・団体・機関 

中小機構は、正式名称を独立行政法人中小企業基盤整備機構といい、地域の自治体・支援機関・政府系機関と連携して中小企業の成長を支援する機関です。 特に中小機構が運営する中小企業向けの共済である「小規模企業共済」と「経営セーフティ共済」は多くの企業が加入し、そのメリットを享受しています。 「小規模企業共済」は、経営者が退職金の代わりとして加入することが多い共済制度です。月1,000円から7万円まで積立でき、その全額が所得控除の対象となります。また、現在までの掛金残高の範囲内で貸付を受けられ、いざという時に迅速に事業資金を調達できます。 「経営セーフティ共済」は、取引先が倒産し、売掛金の回収が困難となった場合に備えるための共済制度です。取引先の倒産時にすぐに借り入れることができるため、連鎖倒産を防ぐことができます。また、掛金は掛け捨てではなく、12カ月以上納付していれば掛金総額の80%以上が戻ってきます。

定款

起業・開業・設立 

定款(ていかん)とは、会社の基本情報や規則などが書かれた、会社の憲法のようなものです。会社の設立時に必ず作成しなくてはならない書類のひとつで、記載しなくてはならない内容などが法律によって定められています。 定款には事業の目的・商号・本店所在地・資本金・発起人の氏名・発行可能株式総数といった必ず記載する必要がある「絶対的記載事項」と、現物出資する財産・財産引受・発起人の報酬・設立費用といった、定めることで効力が発揮される「相対的記載事項」、定時株主総会の招集時期・役員数・事業年度といった、記載しなくても効力がなくなるわけではないものの定款に書くことができる「任意的記載事項」の3つの記載事項があります。「相対的記載事項」は定めることで会社の有利となることもあるため、行政書士に作成を依頼することが一般的です。

著作権

法務 

著作権とは、著作物を保護するための権利です。文学・学術・美術・音楽などのジャンルで、思想・感情を創作として表現したもの、いわゆる文化的な創作物のことです。著作物は創作した時点で自動的に権利が発生し、著作者の死後70年間保護されます。著作物を無断で使用した場合は著作権侵害となり、権利者から損害賠償の請求をされたり、訴えられる可能性があります。著作物は知的財産権(知的所有権)の一種で、ほかの権利としては産業財産権(工業所有権)があります。産業財産権には下位の分類があり、「特許権」「実用新案権」「意匠権」「商標権」の4つの権利により、産業領域での知的な創造を保護しています。特許権などは著作権と違って自動で権利が発生するわけではなく、特許庁に出願し登録しなくては保護を受けることはできません。