用語集

起業・スタートアップに関するキーワードをご紹介します。

コミュニティ財団

支援プログラム・団体・機関 

コミュニティ財団とは、コミュニティ(地域)が抱える課題の解決と、価値創造を目的とした財団の総称です。具体的な活動内容としては、地域が必要とする資金を提供するための基金の設置・運用を行っています。資金は地域において公益的な事業をNPO法人などに提供されます。さらに資金提供に付随する形で、事業計画の策定や、ボランティアの仲介などの支援を行うこともあります。 コミュニティ財団は、1914年にアメリカのオハイオ州クリーブランドで設立されたクリーブランド財団が最初であるといわれています。アメリカの財団評議会はコミュニティ財団を「地域に精通した市民が理事会を構成し、社会貢献をする団体」「個人・企業などの寄付などにより設置される個別の基金を管理・運営する」「基金寄附者、非営利セクター、地域社会に奉仕する」と定義しています。国内のコミュニティ財団の多くはこの定義に則って運営されています。

デモデイ

支援プログラム・団体・機関 

デモデイとは、アクセラレータープログラムやインキュベーションプログラム、ビジネスプランコンテストなどにおける成果発表会のことです。多くは投資家や大企業に向けたプレゼンテーションという形で行われます。イベント会場を借り、事前に募集するなどして集めた一般参加者(聴衆)を入れて開催するほか、オンラインで配信する例もあります。 デモデイでは、有名な投資家や起業家などの審査員の審査を通じて、優れたアイデアに最優秀賞などの賞や賞金を授与することが一般的です。デモデイでの受賞は実績となり、今後のスタートアップの成長にプラスの影響があります。 起業家が聴衆として参加する場合は、革新的なプロダクト・サービスとそのビジネスプランを一度に知ることができるため、勉強の場としても重要です。オフラインのデモデイの場合は投資家と出会える可能性もあります。

スタートアップビザ

支援プログラム・団体・機関 

スタートアップビザとは、自国で起業する外国人に対し、一時的な在留許可を認めるビザのことです。欧州諸国を中心に、自国の人材だけでは大きな経済発展が望めないという課題が顕在化しました。そこで各国において、イノベーションや雇用の創出を目的に、優秀の人材を誘致するための施策としてスタートアップビザの導入が広がっています。英国やブラジルなど20カ国以上で導入されています。 多くのスタートアップビザでは、既存の分野での起業は対象外で、革新的なプロダクトやサービスを計画している起業家が対象です。 さらに、ただ滞留許可を出すだけでなく、資金や活動場所(コワーキングスペースなど)の提供などにより、企業の成長を支援する取り組みも行っています。 日本では、経済産業省の定めに沿って地方自治体が実施する「外国人起業活動促進事業」と、内閣府が実施する「国家戦略特別区域外国人創業活動促進事業」の2つがスタートアップビザに該当します。 「外国人起業活動促進事業」は、地方自治体が管理・支援する外国人起業家に対し、最長1年間の入国・在留を認める制度です。2022年9月時点で、福岡市、愛知県、岐阜県、神戸市、大阪市、三重県、北海道、仙台市、横浜市、茨城県、大分県、京都府、東京都渋谷区、浜松市が経済産業省に認定され、この制度を実施しています。 「国家戦略特別区域外国人創業活動促進事業」は、国家戦略特区(秋田県仙北市、宮城県仙台市、東京都、神奈川県、千葉県千葉市・成田市、新潟県新潟市、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、兵庫県養父市、広島県、愛媛県今治市、福岡県福岡市・北九州市、沖縄県)が特例的に認められた制度です。通常、在留資格である「経営・管理」の認定を受けるには、申請時に事務所の開設と、常時職員の2人以上雇用もしくは資本金または出資総額が500万円以上などの要件を満たす必要がありますが、この制度では要件を満たしていなくても、対象の特区に創業活動計画書などを提出し、要件を満たす見込みがあることが確認されると、6カ月の「経営・管理」の在留資格が認められます。

屋号

起業・開業・設立 

屋号とは、現代では個人事業主がビジネスを営む際の名前のことです。企業における社名(商号)に相当します。 個人事業主は、個人事業主として開業したことを所轄の税務署に知らせるため、開業届を届け出ます。この開業届には屋号を書く欄があり、ここに屋号を記入することで税務署上の情報として登録されます。ほかにも確定申告書にも記入欄があり、ここに記入することでも登録できます。 屋号の登録は任意であり、登録していない個人事業主も珍しくありません。店舗などであれば〇〇店、ショップ〇〇など、フリーランスであればペンネームを屋号とすることが多いようです。 屋号はさまざまな場所で使うことができます。例としては、名刺や看板などはもちろん、屋号での銀行口座の開設、屋号でのクラウドソーシングサイトへの登録、請求書などにおいて公的な名称としても使用できます。

R&D

経営・事業戦略 

R&D(Research and Development)とは、自社の事業領域に関する研究を実施し、新たな知見・技術を創出すること、いわゆる研究開発のことです。R&Dは新たな知見・技術を得ることで競争優位性を高めることを目的としています。もし新技術など確立できれば特許を取得し、それによってビジネスを防衛できるほか、ライセンス料を得られることもあるでしょう。将来の収益向上を目的としているため、基本的には事業化や実用化の見込みが立つ研究に重点が置かれます。 R&Dの注目が高まった1970~1980年代の高度経済成長期は、自前主義で研究開発を行う例が多かったのですが、近年は自社のリソースだけでは世界の変化のスピードについていけないため、外部のリソースを活用しスピーディな事業・研究開発を実現するオープンイノベーションに取り組む企業も増えています。

SBIR

支援プログラム・団体・機関 

SBIR(Small Business Innovation Research)とは、スタートアップや中小企業の研究開発を促進し、イノベーションを創出することを目的とした国の制度です。SBIR制度は、国の機関から研究開発型スタートアップなどへの補助金や委託費を提供する機会の拡大や、公募・執行に関する統一的なルールの設定、研究開発成果の社会実装に向けた随意契約制度の活用などにより、事業化までを支援することを目的としています。 事業化までの支援策として、SBIRが指定する補助金の研究開発成果を活用した事業への特別利率での融資の提供、特許料の減免、国などの入札への特別参加、国内大手企業や海外企業とのビジネスマッチングサイト「J-Goodtech(ジェグテック)」でのPRなどを実施しています。

雇用労働相談センター

人事・労務 

雇用労働相談センターとは、雇用・労働の疑問を、弁護士や社会保険労務士(社労士)に無料で相談できる場所です。ビジネスがしやすい環境を創出することを目的とした「国家戦略特区」(秋田県仙北市、宮城県仙台市、東京都、神奈川県、千葉県千葉市・成田市、新潟県新潟市、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、兵庫県養父市、広島県、愛媛県今治市、福岡県福岡市・北九州市、沖縄県)の区域内に設置されており、相談の受け付けのほか、雇用や労務管理などのセミナーなどもすべて無料で実施しています。経営者だけでなく、起業準備中の起業家も利用でき、専門家から適切な起業のためのアドバイスをもらうことができます。近年はフリーランスの増加や、テレワークといった働き方の変化も激しくなっています。フリーランスなどの外部の人的リソースの活用やテレワークの環境整備のためには社内規定を変更する必要がありますが、スタートアップは専門家を雇えるほど資金に余裕がないことも多いため、無料で相談できる雇用労働相談センターは大きな助けとなってくれる存在です。

GAPファンド

支援プログラム・団体・機関 

GAPファンドとは、戦略的に大学の研究室に開発資金を提供し、基礎研究と事業化の間に存在するギャップ(GAP)を埋めることを目的とした基金(ファンド)のことです。ファンドは大学自身が運営するものもあれば、複数の大学が集まってつくったコンソーシアムが運営するものもあります。 近年の気候変動やエネルギー問題などの世界的な課題を解決するため、大学では研究成果の技術移転や大学発ベンチャーの創出のためにGAPファンドを活用する事例が増加しています。国内は米国に比べてベンチャーキャピタルなどの投資家が少ないため、事業化が難しい大学発ベンチャーは研究開発のための資金を得ることが困難な状況にあり、GAPファンドはその資金を埋める存在として重要な役割を担っています。

セオリーオブチェンジ

経営・事業戦略 

セオリーオブチェンジ(ToC:Theory of Change)とは、NPO法人などの社会課題の解決を目指す団体などが、事業がどう社会の変革に役立つのかについて、課題の構造・原因と、解決するための変化の理論・法則を図式化したものです。 セオリーオブチェンジは、事業の計画・設計、実行、評価のいずれの段階でも活用できます。事業の計画段階では、メンバーで集まり対話しながらセオリーオブチェンジを作成することで、目標や目標を達成するための成果などを整理し明確にすることができます。実行段階では、事業の進捗管理として利用できます。評価段階では、成果の計測と同時にセオリーオブチェンジを作成することで、対外的に事業の内容と成果の因果関係を示すことができます。 社会課題の解決を目指す事業では、セオリーオブチェンジと並び、事業・組織が目指す変化・効果の実現に向けたプロセスを論理的に整理するためのフレームワークであるロジックモデルもよく利用されています。

無担保借入

資金調達・キャッシュフロー 

無担保借入とは、その名の通り担保のない借り入れ(融資)のことです。担保とは、万が一返済ができなくなった場合、お金の代わりに債権者に提供し、債権の弁済を保証するものです。有担保借入では、不動産・自動車・有価証券などを担保とします。 スタートアップや中小企業などの法人が銀行から融資を受ける場合は、不動産や在庫、売掛債権を担保とします。しかし創業期はこうした担保にできる資産がないケースが多いため、無担保借入の利用を検討します。 法人向けの無担保借入には、日本政策金融公庫の融資、信用保証協会の保証付融資、地方自治体の制度融資があります。これらの融資は無担保であるというリスクを低減するため、事業計画書の提出が必要とするなど、企業に返済能力があるかどうかを詳しく審査します。

GIIN

資金調達・キャッシュフロー 

GIINとは、Global Impact Investing Networkの略称で、日本語ではグローバル・インパクト投資ネットワークといいます。インパクト投資の活性化を目的にロックフェラー財団を中心とした機関投資家によって設立された国際的な団体です。 インパクト投資とは、社会的・環境的なリターンと経済的なリターンを両立させる投資手法のことです。従来の投資はリスクとリターンという2つの要素を考慮して投資対象を決定していましたが、インパクト投資は、従来の投資にインパクトという新たな要素を加え、より良い社会の実現を目指しています。 GIINは、このインパクト投資に関するノウハウの共有やインパクト投資家のネットワークの構築などを行っています。また、インパクト投資を実施するためには、インパクト投資が社会的・環境的にどのような影響を与えたのか可視化する必要があります。そのためGIINは、インパクト投資の評価を共通化するため、インパクト指標のカタログ「IRIS」や、「IRIS」を応用したマネジメントツール「IRIS+」を作成し、アップデートを続けています。

アドボカシー活動

経営・事業戦略 

アドボカシー活動とは、社会的弱者やマイノリティの権利を擁護するため、彼らの主張を代弁し、政治・経済・社会などに訴えかける活動のことです。権利擁護活動や政策提言活動ともいいます。 アドボカシー活動の目的は大きく分けて2つあります。1つは社会的弱者やマイノリティの問題解決のため、現状の政策を変えるように行政などに直接訴えかける「政策提言」です。 もう1つは、社会課題解決のため、現在起きている課題を可視化し広く知らしめる「広報活動」「啓蒙活動」です。 アドボカシー活動の多くはNPO法人などの非営利団体が中心となって展開されていますが、近年はSDGs(持続可能な開発目標)が策定され、企業では社会課題解決を目的としたビジネスを展開する例が増えています。ビジネスへの賛同者を増やすためにも企業のアドボカシー活動が重要となっています。