用語集

起業・スタートアップに関するキーワードをご紹介します。

ハンズオン支援

支援プログラム・団体・機関 

ハンズオン支援とは、公的な支援制度や民間企業が行うコンサルティングなどにおいて、専門家を派遣し実地でコンサルティングやアドバイスを行う支援のことです。ハンズオン(Hands-on)は手で触れる、実践するという意味を持っています。 スタートアップや中小企業向けのハンズオン支援としては、中小企業基盤整備機構(中小機構)が提供する「ハンズオン支援(専門家派遣)」が有名です。 中小機構のハンズオン支援には、「専門家継続派遣事業」「戦略的CIO育成支援事業」「経営実務支援事業」「販路開拓コーディネート事業」の4つがあります。いずれも費用(4,200円~17,450円、専門家1人・1日あたり)を払うことで支援を受けられます。 中小機構が提供するハンズオン支援は一過性のものではなく、支援終了後自ら継続的に発展・成長できる仕組みづくりまで支援しています。 ちなみに、VC(ベンチャーキャピタル)などの投資の領域において投資先企業の経営に深く関与することをハンズオンといい、経営に関与せず投資先に任せることをハンズオフといいます。

バーンレート

経営・事業戦略 

バーンレートとは、企業が1カ月あたりにどれだけのコストを消費しているかを表す指標です。資金燃焼率や現金燃焼率とも呼ばれます。 企業設立時の資金がなくなるまでの猶予期間のことをランウェイと呼び、これを計算する際にバーンレートは用いられます。スタートアップでは事業が軌道に乗るまで赤字経営が続くため、バーンレートを把握し、いつ資金が尽きてしまうのかを頭に入れて経営することが重要です。 バーンレートにはグロスバーンレートとネットバーンレートの2種類があります。グロスバーンレートは、ひと月あたりのコストの合計です。ネットバーンレートは、ひと月あたりのコストから売上を引いたものです。 実質的なコストを表しているのはネットバーンレートの方であり、こちらを一般的にはバーンレートと呼んでいます。 ネットバーンレートの計算方法は「総コスト÷期間-売上」です。

弁護士

法務 

弁護士とは、司法試験に合格し、国家資格である弁護士資格を取得した法律の専門家です。高度な法律の知識を基に人々の権利や利益を守る仕事をしています。 企業では、企業同士の取引・事業の法的な解釈・知的財産の管理・紛争の予防・不祥事の対応など、弁護士が関わる場面が数多くあります。大企業では法務部があり、会社員として働く企業内弁護士(インハウスローヤー)がいることもあります。 また、企業では弁護士事務所に所属する弁護士などと顧問契約を結ぶことも一般的です。顧問契約内で弁護士に依頼できる業務は、法律相談・顧問弁護士としての表示(Webサイトにへの掲示など)・社内規則の整備・契約書のリーガルチェック・契約書の作成です。 スタートアップにおいても、会社設立手続きの支援、創業者株主間契約の支援、資金調達時の出資者との契約支援、事業の適法性のチェックなど、様々な場面でお世話になることもあるでしょう。

プロダクトアウト

起業・開業・設立 

プロダクトアウトとは、顧客のニーズよりも、企業側の強み・考えを優先して商品開発・生産・販売を行うことです。対となる言葉に、顧客・市場のニーズを応える形でプロダクトを開発する「マーケットイン」があります。 自社の技術力・強みを色濃く反映したプロダクトや、他社にないヒット商品を生み出せること、市場調査などのコストがかからないことなどのメリットがあります。 顧客のニーズを無視した開発だと誤って認識されていることもありますが、プロダクトアウトの強みを持ったプロダクトによって新しい市場の開拓や潜在ニーズを満たすことを目的としています。 プロダクトアウトの成功例としては、スマートフォンの火付け役ともなったAppleのiPhone、音楽を持ち歩くという市場を開拓したSONYのウォークマンなどがあります。

ピッチ

起業・開業・設立 

ビジネスにおけるピッチとは、短時間で不特定多数の相手(投資家など)に、わかりやすい言葉で何らかの提案をすることを指します。似たような言葉にプレゼンテーションがありますが、プレゼンテーションは特定の顧客や身内などが対象で、ピッチは初めて会う相手や不特定多数の相手が対象であることが違いです。 ピッチの発祥はIT業界の中心地であるシリコンバレーです。シリコンバレーでは日々新たなスタートアップが生まれています。スタートアップの起業家は、事業の立ち上げや成長のために投資家の心をつかむ必要があり、ピッチによってビジネスアイデアを伝えています。 ピッチには、エレベーターに乗っている間の15~30秒といった短時間で伝えるエレベーターピッチというものがあります。内容をコンパクトにまとめる必要があるため、自身の事業を深く理解することにつながるといわれています。

法人登記

起業・開業・設立 

法人登記とは、会社を設立する際に、会社の重要な情報を法務局に登録し、一般に開示するための制度のことです。法人登記は法律によって義務づけられているため、会社設立の際は必ず行わなくてはなりません。法人登記が完了すると即座に会社が設立され、法人番号という固有の番号が発行され、専用のサイトに掲載されます。 また、重要な情報とは、法人の商号(会社名)、所在地、代表者の氏名、資本金などですが、登記後に所在地の移転や代表者の変更などがあった場合は、変更の登記をしなければなりません。こちらも法人登記と呼ぶため、設立のための法人登記を法人設立登記と呼ぶことがあります。 会社を設立せず個人でビジネスを営んでいる個人事業主もいますが、利益が大きくなってくると、最大45%の所得税がかかってきます。そのため、大きくなってきた個人事業主は、税率の低い法人へと変更する「法人化」を行います。

バックキャスティング

経営・事業戦略 

バックキャスティング(Backcasting)とは思考法のひとつです。未来のあるべき姿を描き、その未来に至るための道筋や施策を考える思考法のことです。逆算思考と呼ばれることもあります。バックキャスティングには、現状にとらわれないアイデアの創出や、選択肢が広がること、長期的な目標を立てられることなどのメリットがあります。 バックキャスティングによって示された目標の有名な例が「SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)」です。 バックキャスティングの反対となる思考法に、フォアキャスティング(Forecasting)があります。フォアキャスティングは現在を起点として、抱えている課題にどのような改善を行えるのかを考え、それを積み上げていき地道に改善をくり返していく思考法のことです。現状の問題点の改善や、失敗のリスクが低いことなどのメリットがあります。

ポンジ・スキーム

経営・事業戦略 

ポンジ・スキームとは、投資詐欺(詐欺的な投資勧誘)のひとつです。集めたお金を実際には運用せず、配当金という名で還元することで投資家の信用を得てお金を騙し取る詐欺の手口です。 具体的な手口としては、月利30%といった高配当を掲げて投資家からお金を募り、お金を運用するふりをしてそのお金を配当として還元します。ただ集めたお金を横流ししているだけであるため、いつかは資金が枯渇し配当金を支払えなくなって破綻します。そのため新規顧客から出資させたお金を既存出資者に配当することで破綻を先延ばしにします。実際に高額な配当が得られるため口コミによって出資者が増えていき、そして新規顧客が減り、スキームが回らなくなってきたところで、詐欺師は雲隠れし巨額のお金を騙し取ります。 シンプルな手口ですが国内の投資詐欺において最も被害数の多い詐欺といわれています。高配当・高利回り、元本保証、一定期間出金ができないといった特徴があるため、少しでも怪しいと思った投資案件には手を出さないようにすることが肝心です。

プロボノ

経営・事業戦略 

プロボノとは、職業上のスキルや専門的な知識を用いて行うボランティア活動のことです。ラテン語の「公共善のために」を意味する「Pro Bono Publico」が語源です。 もともとは1980年代のアメリカやイギリスの法曹界において、弁護士費用を払うのが難しい人に対し、法曹界全体で無償ので法的な支援を行ったことがプロボノのはじまりといわれています。 国内では プロボノの推進活動を行うNPO法人が2010年をプロボノ元年と定義してPR活動をはじめ、NHKに取り上げられています。2011年の東日本大震災によって注目が高まり、それ以降、金融・営業・マネジメント・広告・クリエイティブ・ITなどさまざまな領域のプロフェッショナルが、自身の本業の延長としてボランティア活動に参加することが増えています。 プロボノのメリットとしては、自分の得意分野で社会貢献できる、スキルアップにつながる、人脈を広げられる、自分の力量を見極められるなどが挙げられます。

ファンド

資金調達・キャッシュフロー 

ファンドとは、金融業界やビジネス業界では、投資家から資金を募って運用を行う会社や金融商品のことを指します。ファンドという言葉にはさまざまな意味があるため、何を指しているのかわかるように、投資を行うファンドを投資ファンドといったりもします。 スタートアップと比較的関わりの深いファンドとしては、VC(ベンチャーキャピタル)や自治体・金融機関などがスタートアップに投資するために組成するファンドがあります。VCは、将来的に大きな成長の可能性のあるスタートアップやベンチャー企業に早期に出資し、上場後に高値になった株式を売却することで利益をあげます。 自治体や地域金融機関が組成するファンドは、地域の活性化、地域の課題解決、起業率の向上などのためにスタートアップを資金的に支援することを目的としています。

弁理士

法務 

弁理士とは、知的財産に関する専門家のことです。知的財産権を特許庁に申請する手続きの代行を主な仕事としています。 知的財産権には、特許権・実用新案権・意匠権・商標権などがあります。時間や費用をかけて創出された技術やアイデアを保護することで、他者の無断使用や模倣によって不利益を被ることを防ぐことを目的としています。また、ビジネスでは特別な技術やアイデアについて特許を取得できれば、ほかの企業が同じビジネスを行えなくなるため、市場で大きなシェアを獲得できる可能性があります。 ビジネスの分野に強い弁理士は、スタートアップが持つ特許になりそうな技術・アイデアなどから、ビジネスを効果的に守れそうなものを選ぶといった、特許を戦略的に利用するためのアドバイスを行いスタートアップを支援しています。 始めたばかりのビジネスでは成長するかどうかもわからず、特許取得にコストがかかるため、スタートアップでは大型の資金調達などビジネスが有名になるタイミングで特許を取得するケースが一般的です。

プライバシーポリシー

法務 

プライバシーポリシーとは、個人情報保護方針のことです。個人情報保護法によって、企業が個人の氏名・生年月日・住所・電話番号など、特定の個人を識別できる情報を取得する際には、個人の情報の利用目的・管理方法などを本人に通知・公表しなくてはならないと定められています。 プライバシーポリシーは、この個人情報の利用目的や管理の方法を文章にまとめたものです。個人情報保護法の義務を果たすため、コーポレートサイトなどに専用のページを作って掲示したり、Webサービスを提供するような事業の場合は、会員登録時にサービスの利用規約と共に表示したりします また、個人情報を保有する場合は、本人から請求があったときに保有している個人情報を本人に開示したり、訂正に応じたりするための手続きを定めて公表する必要もあります。 記載した利用目的以外に個人情報を使えなくなって後々困ることがないよう、個人情報の活用を考えている企業は、弁護士などの専門家のアドバイスを受けながらプライバシーポリシーを策定します。