用語集

起業・スタートアップに関するキーワードをご紹介します。

ユニコーン企業

起業・開業・設立 

ユニコーン企業とは、企業としての評価額が10億ドルを超える未上場の新興企業のことです。ヨーロッパ文化圏で共有されている伝承上の生物であるユニコーンのように“珍しい”ということでユニコーン企業と呼ばれるようになったそうです。大きな利益を生み出す可能性があり、大規模な資金調達を実施するため、多くの起業家の憧れでもあります。 対してゼブラ企業は、このユニコーン企業が礼賛される市場へのカウンターとして、2017年に米国の女性起業家4人が提唱した概念です。社会的インパクトの創出、多様なステークホルダーへの貢献など、利益を出しながらも社会貢献を目指すことを特徴としています。SDGsの推進もあり、ユニコーン企業のように爆発的に成長して市場を破壊するのではなく、ゼブラ企業のように持続的な成長を目指し、その市場を底上げしていく企業にも大きく注目が集まり始めています。

アップサイクル

経営・事業戦略 

アップサイクルとは、本来捨てられてしまう物に付加価値をもたせ、新たな製品としてアップグレードさせることです。創造的再利用とも呼ばれています。廃タイヤからサンダルを作ったり、野菜の芯や皮から野菜ペーストを作ったりする例があります。 アップサイクルと対になる概念にダウンサイクルがあります。こちらも廃棄物を新たな製品にする取り組みですが、もととなった物から価値が下がる、つまりダウングレードする点が異なります。例えば、毛羽立ったタオルを雑巾にすることなどがダウンサイクルにあたります。 アップサイクルはSDGsにおける取り組みの一環として環境負荷を減らすことに役立ちます。環境に優しい商品や取り組みは消費者への訴求力もあるため、多くのプロダクトやブランドが誕生しています。

役員報酬

税務・会計 

役員報酬とは、文字通り役員に支払う報酬のことです。報酬の金額は株主総会での決議の後、その決議に基づき取締役会によって決定されます。 中小企業に多いケースですが、取締役が社長を兼任し外部の株主がいない場合は、取締役が自身の報酬を好きなように決められるため、利益操作や脱税ができないよう税法上の取り扱いが厳しく定められています。 その税法上の制限とは一定の要件を満たさなければ損金算入されない(経費とならない)というものです。要件には、毎月同じ金額を支払う「定期同額給与」、事業年度が始まってから一定期間以内に税務署に支給時期と支給額を届け出る「事前確定届出給与」、利益や株価などから計算して支給する「業績連動給与」の3種類があります。

健康経営

経営・事業戦略 

健康経営とは、従業員の健康を管理することで企業全体の生産性の向上を図る経営手法のことです。 以前は従業員の健康管理は個人の責任と考えられていました。しかしブラック企業などが世間で問題となり、労災やメンタルヘルスへの対応は企業の社会的責任とする考えが広がり、ストレスチェック制度などの法律も整備されました。また、心身に何らかの不調を抱え生産性が下がった状態で仕事をしていることで多くの損失が発生することが明らかになっています。 さらには、少子高齢化によって医療費の圧迫と人材不足といった問題も大きくなっています。そのため、従業員に健康面での投資を行い、生産性を向上させたり組織を活性化させたりする健康経営が注目されています。

アーリーアダプター

経営・事業戦略 

アーリーアダプターとは、流行に敏感で、自ら情報収集を行って購買を判断する消費者の層のことです。新たな商品やサービスの市場における普及率を示すマーケティング理論「イノベーター理論」で分類される5つの消費者タイプのひとつです。購買判断が早い順に「イノベーター」「アーリーアダプター」「アーリーマジョリティ」「レイトマジョリティ」「ラガード」と並んでいます。 アーリーアダプターは、早期に新しい商品・サービスを受け入れてくれる消費者層で、機能・メリットを吟味して購買を決めるため、口コミで機能・メリットを広めてくれるオピニオンリーダーでもあります。アーリーアダプターは全消費者のうち13.5%を占め、イノベーターと合わせると16%を占めます。アーリーアダプターと次の層であるアーリーマジョリティの間には深い溝があるため、この16%を超えられるかどうかはサービス・商品の普及の分かれ目であるといわれています。そのためアーリーアダプターはマーケティングにおいて特に重視されている消費者層です。

ファンド

資金調達・キャッシュフロー 

ファンドとは、金融業界やビジネス業界では、投資家から資金を募って運用を行う会社や金融商品のことを指します。ファンドという言葉にはさまざまな意味があるため、何を指しているのかわかるように、投資を行うファンドを投資ファンドといったりもします。 スタートアップと比較的関わりの深いファンドとしては、VC(ベンチャーキャピタル)や自治体・金融機関などがスタートアップに投資するために組成するファンドがあります。VCは、将来的に大きな成長の可能性のあるスタートアップやベンチャー企業に早期に出資し、上場後に高値になった株式を売却することで利益をあげます。 自治体や地域金融機関が組成するファンドは、地域の活性化、地域の課題解決、起業率の向上などのためにスタートアップを資金的に支援することを目的としています。

MBO

経営・事業戦略 

MBOとは、M&A(企業の合併と買収)の方法のひとつです。正式名称はマネジメント・バイアウト(Management Buyout)といいます。 MBOは、企業の経営陣が、投資ファンドや金融機関から資金調達を行い、その資金で自社の株式や事業を買い取り経営権を取得するというものです。主に、大企業において事業部門や子会社を切り離して独立させるために活用されています。 また、中小企業の事業承継においても活用されています。この場合は、代表取締役などの社内の役員に株式を譲渡することで、事業を引き継ぎます。株式を買い取る必要があるため、特別目的会社(SPC)という法人を設立し、SPC名義で資金調達してから株式を買い取ります。そしてSPCと引き継ぐ会社を合併することで事業承継が完了します。

ムーンショット

経営・事業戦略 

ムーンショットとは、既存の技術やアイデアは到底成し遂げられない困難な目標ではあるものの、達成できれば大きなインパクトとイノベーションをもたらす壮大な計画や研究開発のことです。前人未到の月面着陸を目指すアポロ計画を発表したケネディ大統領のスピーチ内のフレーズを由来としています。 国内においても、破壊的イノベーションを創出するために「ムーンショット型研究開発制度」という大型研究プログラムが内閣府によって推進しされています。このプログラムでは具体的に9つの目標が掲げられており、それぞれ大学などの研究機関や企業のリソースを結集してプロジェクトが進められています。

弁理士

法務 

弁理士とは、知的財産に関する専門家のことです。知的財産権を特許庁に申請する手続きの代行を主な仕事としています。 知的財産権には、特許権・実用新案権・意匠権・商標権などがあります。時間や費用をかけて創出された技術やアイデアを保護することで、他者の無断使用や模倣によって不利益を被ることを防ぐことを目的としています。また、ビジネスでは特別な技術やアイデアについて特許を取得できれば、ほかの企業が同じビジネスを行えなくなるため、市場で大きなシェアを獲得できる可能性があります。 ビジネスの分野に強い弁理士は、スタートアップが持つ特許になりそうな技術・アイデアなどから、ビジネスを効果的に守れそうなものを選ぶといった、特許を戦略的に利用するためのアドバイスを行いスタートアップを支援しています。 始めたばかりのビジネスでは成長するかどうかもわからず、特許取得にコストがかかるため、スタートアップでは大型の資金調達などビジネスが有名になるタイミングで特許を取得するケースが一般的です。

自己破産

経営・事業戦略 

会社更生法とは、会社を畳むことなく、債務超過に陥った企業を再生させるための法律です。倒産手続きの一種であり、大企業の再建のために利用されるケースが目立ちます。会社更生法が適用されると、裁判所により更生管財人が専任され、更生計画の立案とそれにもとづいた企業の再建を行っていくこととなります。また、中小企業向けとしては民事再生法があります。こちらは適用後も経営陣がそのまま経営に携わることができます。 一方で、これら再生手続きは、債務がすべてなくなるわけではありません。単年度黒字の企業や、将来的に単年度黒字が見込める企業など、債務を減らすことで返済が可能な企業のみ再生を目指すことができます。赤字経営が続いてるなど返済が見込めない企業は、破産の手続きを行い、負債と資産を清算することとなります。そして法人が消滅することで、事実上債務が免除されます。法人の破産は個人が自ら破産申立をする自己破産と同じ性質のものです。

プライバシーポリシー

法務 

プライバシーポリシーとは、個人情報保護方針のことです。個人情報保護法によって、企業が個人の氏名・生年月日・住所・電話番号など、特定の個人を識別できる情報を取得する際には、個人の情報の利用目的・管理方法などを本人に通知・公表しなくてはならないと定められています。 プライバシーポリシーは、この個人情報の利用目的や管理の方法を文章にまとめたものです。個人情報保護法の義務を果たすため、コーポレートサイトなどに専用のページを作って掲示したり、Webサービスを提供するような事業の場合は、会員登録時にサービスの利用規約と共に表示したりします また、個人情報を保有する場合は、本人から請求があったときに保有している個人情報を本人に開示したり、訂正に応じたりするための手続きを定めて公表する必要もあります。 記載した利用目的以外に個人情報を使えなくなって後々困ることがないよう、個人情報の活用を考えている企業は、弁護士などの専門家のアドバイスを受けながらプライバシーポリシーを策定します。

プロトタイプ

経営・事業戦略 

プロトタイプとは、いわゆる試作品のことです。ものづくりの分野では製品をつくる際の各プロセスで、製品の品質・機能・デザインに問題がないか検証するためにプロトタイプがつくられます。プロトタイプは、主にものづくり分野で利用されていた開発手法ですが、Webサービスやソフトウェア開発などのIT系やビジネス全般にも広がっていきました。 IT系では、アプリ・ソフトウェアの動きをシミュレーションを行うプロトタイプや、プロダクトの動画プロモーションなどによってユーザーに疑似体験させ、具体的な問題・改善点などを明らかにするプロトタイプなどが開発酒盗として取り入れられています。 ビジネス全般におけるプロトタイプには、ビジネスの段階やモデルに応じて様々な形があります。ビジネスの立ち上げ前後の段階では、ノートなどにアイデアの概要・価値・収益の流れなどビジネスの骨格となる要素を書き出していきます。これを基に仲間やチームと議論することでビジネスを磨き上げていきます。ある程度実現可能なプロトタイプが出来上がったら見込み客などに公開して実際に体験してもらい、顧客のリアルな声を聞きながら改良・修正を加えていきます。