用語集

起業・スタートアップに関するキーワードをご紹介します。

シード期

経営・事業戦略 

ベンチャー企業は、成長段階によって「シード期」「アーリー期」「ミドル期」「レイター期」の4つのステージに分類されます。 シード期は、起業前あるいは起業直後でまだ本格的な事業を展開していない時期、つまり成長する前の種(シード)の時期のことです。プロダクト・サービスのアイデア・仕組みを考えたり、事業を展開するための準備を進めたりしている段階であり、今後の土台となる重要な時期といわれています。 アーリー期は、立ち上げた事業が軌道に乗るまでの期間のことです。事業を認知、拡大させるためにさまざまなコストがかかってきますが、まだビジネスが軌道に乗っていないため、赤字になるケースがほとんどです。 ミドル期は、プロダクト・サービスが市場で認知されはじめ、ビジネスが軌道に乗りはじめた段階です。組織の規模拡大やマーケティングなどに注力し、今後長期的に経営が続けられるような戦略を実施します。レイター期は、すでに一般的に認知され、持続的な拡大が見込める段階です。事業も黒字化しているケースが多く、上場を目指したり、新たな事業を立ち上げたりします。

SIIF

支援プログラム・団体・機関 

SIIFとは、一般財団法人社会変革推進財団のことです。ボートレースの収益金などを基に、海洋船舶関連事業の支援や公益・福祉事業、国際協力事業などを行う日本財団の協力により、2017年に設立された法人です。日本でのインパクト投資のエコシステム構築を目的としています。 インパクト投資は欧米から始まった投資手法で、日本では取り組みが遅れています。SIIFは国内において、「インパクト投資に取り組む人材・組織の育成、調査研究などによる環境整備」や「企業・団体のインパクト投資の影響を可視化するインパクト測定などの実施に向けたアドバイザリー事業」、「事業の成果に応じて委託料の支払い額が決まる民間への行政サービスの業務委託契約である成果連動型民間委託契約(PFS:Pay For Success)と、外部からの資金調達を伴う成果連動型民間委託契約(SIB:Social Impact Bond)」、「実際の出資を通じたモデルの創出やプレーヤーの育成」などを行い、インパクト投資を推進しています。

協調融資

資金調達・キャッシュフロー 

協調融資とは、複数の金融機関が協調してひとつの契約に基づいて同一条件で融資を行うことです。シンジケートローンともいいます。 企業にとってはひとつの金融機関からでは難しい高額の融資を受けられるというメリットがあります。さらに、金融機関側は貸し倒れのリスクが分散できるため、双方にメリットがある制度です。 政府系金融機関である日本政策金融公庫は、複数の金融機関と業務連携・協力についての覚書を締結しているため、全国の金融機関との協調融資が可能です。 協調融資のデメリットとしては、複数の金融機関が関わるため、融資実行まで時間と手間がかかることや、片方の金融機関が融資を了承しない場合にどちらの金融機関からも融資を受けられない可能性があることが挙げられます。

アセットクラス

税務・会計 

アセットクラスとは、同じような値動きやリスク特性を持った投資対象の資産種類・分類のことです。国内債権、外国債券、国内株式、外国株式、不動産投資信託(REIT)、インフラファンド、プライベートエクイティ(未公開株式)などと分類されています。 異なるアセットクラスの間では値動きの相関がないか、もしくは負の相関(例:国内株式が下がると国内債権が上がる)があります。アセットクラスのこの特徴は、性格の異なる資産に分散して投資することでリスクを抑え、より安定した収益を上げる投資手法であるポートフォリオ運用に利用されています。 スタートアップは未上場企業であるため、アセットクラスとしてはプライベートエクイテに分類されます。近年、国内外の投資家から国内プライベートエクイティ投資への注目が高まっており、資金の流入量が増加しています。スタートアップにとっては資金調達がしやすい環境になってきているといえます。また、海外投資家に情報を提供するため英語の資料を配布するスタートアップも増加しているようです。

ハンズオン支援

支援プログラム・団体・機関 

ハンズオン支援とは、公的な支援制度や民間企業が行うコンサルティングなどにおいて、専門家を派遣し実地でコンサルティングやアドバイスを行う支援のことです。ハンズオン(Hands-on)は手で触れる、実践するという意味を持っています。 スタートアップや中小企業向けのハンズオン支援としては、中小企業基盤整備機構(中小機構)が提供する「ハンズオン支援(専門家派遣)」が有名です。 中小機構のハンズオン支援には、「専門家継続派遣事業」「戦略的CIO育成支援事業」「経営実務支援事業」「販路開拓コーディネート事業」の4つがあります。いずれも費用(4,200円~17,450円、専門家1人・1日あたり)を払うことで支援を受けられます。 中小機構が提供するハンズオン支援は一過性のものではなく、支援終了後自ら継続的に発展・成長できる仕組みづくりまで支援しています。 ちなみに、VC(ベンチャーキャピタル)などの投資の領域において投資先企業の経営に深く関与することをハンズオンといい、経営に関与せず投資先に任せることをハンズオフといいます。

産学官連携

経営・事業戦略 

産学官連携とは、民間企業(産)、大学・研究機関(学)、行政(官)の3社により、共同研究や民間企業と大学を行政を結ぶといった連携を行うことです。大学や研究機関が持つ研究成果や技術を、新たな製品の開発や地域の課題解決などに活用するといった取り組みが目立ちます。 産学官連携は主に文部科学省が推進している施策であり、「官民イノベーションプログラム」や「スタートアップ・エコシステム拠点都市」といった目玉となる取り組みも行われています。 官民イノベーションプログラムは、国立大学と民間企業の共同研究開発の推進や大学発ベンチャーの創出を目的とした事業です。東北・東京・京都・大阪の4つの国立大学に国が1,000億円を出資し、各大学ごとにファンドを組成し、大学発ベンチャーの出資・支援を行っています。 スタートアップ・エコシステム拠点都市は、自治体・大学・民間組織を構成員としたコンソーシアムを国が支援することで、スタートアップの創出・成長、そしてユニコーン企業の輩出を目指す事業です。

ディープテック

経営・事業戦略 

ディープテック(Deep Tech)とは、具体的な製品・サービスとしての形が見えていないものの、形にできれば世界を変革できる可能性を持つ最先端の技術(テクノロジー)のことです。多くは大学などの研究機関や企業などで研究が続けられています。「深いところに眠っている技術」「深く根ざした問題を解決できる技術」といった意味合いを持ちます。 ディープテックを製品・サービスとして実現させるには、高度なスキルや、膨大な資金・時間が必要となります。さらには短期的な成果が出るものではないため、投資家などの目があまり向けられていませんでした。しかし、SDGs(持続可能な開発目標)の策定もあり、世界の根深い課題を解決する方法が求められ、その対象としてディープテックが注目されています。 ディープテックは研究機関などが開発した最先端技術を基盤とするため、大学発ベンチャーが中心となって事業を展開しています。

バーンレート

経営・事業戦略 

バーンレートとは、企業が1カ月あたりにどれだけのコストを消費しているかを表す指標です。資金燃焼率や現金燃焼率とも呼ばれます。 企業設立時の資金がなくなるまでの猶予期間のことをランウェイと呼び、これを計算する際にバーンレートは用いられます。スタートアップでは事業が軌道に乗るまで赤字経営が続くため、バーンレートを把握し、いつ資金が尽きてしまうのかを頭に入れて経営することが重要です。 バーンレートにはグロスバーンレートとネットバーンレートの2種類があります。グロスバーンレートは、ひと月あたりのコストの合計です。ネットバーンレートは、ひと月あたりのコストから売上を引いたものです。 実質的なコストを表しているのはネットバーンレートの方であり、こちらを一般的にはバーンレートと呼んでいます。 ネットバーンレートの計算方法は「総コスト÷期間-売上」です。

ロジックモデル

経営・事業戦略 

ロジックモデルとは、事業・組織が目指す変化・効果の実現に向けたプロセスを論理的に整理するためのフレームワークです。事業の設計図ともいわれます。 ロジックモデルでは、事業の「ヒト・モノ・カネなどの資源(インプット)」→「活動(アクティビティ)」→「直接の結果(アウトプット)」→「成果(アウトカム)」の因果関係を図式にします。ポイントはまず「成果」から逆算して考えるところにあります。 具体的には、最終的な目標を明確にし、その達成のために必要となる途中の成果(中期成果・短期成果)、成果を生み出すために必要な活動、活動に必要な資源を図式に整理します。 「成果」から逆算して考えるという特徴から、社会的インパクトを意識した事業の設計やその評価のためにも活用されています。

新創業融資制度

資金調達・キャッシュフロー 

新創業融資制度とは、政府系金融機関である日本政策金融公庫が取り扱う、新規創業者を対象とした融資制度です。新規創業者、もしくは、事業開始後税務申告を2期終えていない者であれば、最大3,000万円を借りることが可能です。 一般的に法人が融資を受ける際には、代表者(経営者)が連帯保証人になる必要がありますが、新創業融資制度は無担保・無保証人で利用できるため、企業が倒産した場合であっても代表者に責任が及ぶことはありません。 融資にあたっては審査が行われますが、具体的な審査内容や基準は公開されていません。一般的には創業計画書をしっかりと作成することが重要だといわれています。創業計画書には、創業の動機、事業の経験、取り扱う商品・サービス、販売先・仕入先、必要な資金とその調達方法、事業の見通しを記載します。

弁護士

法務 

弁護士とは、司法試験に合格し、国家資格である弁護士資格を取得した法律の専門家です。高度な法律の知識を基に人々の権利や利益を守る仕事をしています。 企業では、企業同士の取引・事業の法的な解釈・知的財産の管理・紛争の予防・不祥事の対応など、弁護士が関わる場面が数多くあります。大企業では法務部があり、会社員として働く企業内弁護士(インハウスローヤー)がいることもあります。 また、企業では弁護士事務所に所属する弁護士などと顧問契約を結ぶことも一般的です。顧問契約内で弁護士に依頼できる業務は、法律相談・顧問弁護士としての表示(Webサイトにへの掲示など)・社内規則の整備・契約書のリーガルチェック・契約書の作成です。 スタートアップにおいても、会社設立手続きの支援、創業者株主間契約の支援、資金調達時の出資者との契約支援、事業の適法性のチェックなど、様々な場面でお世話になることもあるでしょう。

有限責任

起業・開業・設立 

※無限責任にも触れる 有限責任とは、会社が倒産してしまった際に、出資した範囲内を限度に責任を負うことです。例たとえば株式会社の出資者である株主はすべて有限責任であり、もし会社が倒産した場合は、出資したお金はすべて消えてしまいますが、それ以上の責任を負うことはありません。ただし、金融機関などからの融資を受け、経営者などが会社の保証人や連帯保証人となっている場合は返済する義務があります。株式会社以外に有限責任である会社形態には「合同会社」があります。 一方で無限責任とは、会社が倒産してしまった際に、債権者に対して負債の全額を返済する責任を負うことです。無限責任である会社形態には「合名会社」と「合資会社」の2つがあります。 以前は株式会社よりも安価で自由度の高い会社形態は合資会社と合名会社しかなかったのですが、2006年の会社法改正によって合同会社ができてからは合資会社と合名会社のメリットがほぼなくなり、設立されることもほとんどなくなりました。