用語集

起業・スタートアップに関するキーワードをご紹介します。

R&D

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R&D(Research and Development)とは、自社の事業領域に関する研究を実施し、新たな知見・技術を創出すること、いわゆる研究開発のことです。R&Dは新たな知見・技術を得ることで競争優位性を高めることを目的としています。もし新技術など確立できれば特許を取得し、それによってビジネスを防衛できるほか、ライセンス料を得られることもあるでしょう。将来の収益向上を目的としているため、基本的には事業化や実用化の見込みが立つ研究に重点が置かれます。 R&Dの注目が高まった1970~1980年代の高度経済成長期は、自前主義で研究開発を行う例が多かったのですが、近年は自社のリソースだけでは世界の変化のスピードについていけないため、外部のリソースを活用しスピーディな事業・研究開発を実現するオープンイノベーションに取り組む企業も増えています。

セオリーオブチェンジ

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セオリーオブチェンジ(ToC:Theory of Change)とは、NPO法人などの社会課題の解決を目指す団体などが、事業がどう社会の変革に役立つのかについて、課題の構造・原因と、解決するための変化の理論・法則を図式化したものです。 セオリーオブチェンジは、事業の計画・設計、実行、評価のいずれの段階でも活用できます。事業の計画段階では、メンバーで集まり対話しながらセオリーオブチェンジを作成することで、目標や目標を達成するための成果などを整理し明確にすることができます。実行段階では、事業の進捗管理として利用できます。評価段階では、成果の計測と同時にセオリーオブチェンジを作成することで、対外的に事業の内容と成果の因果関係を示すことができます。 社会課題の解決を目指す事業では、セオリーオブチェンジと並び、事業・組織が目指す変化・効果の実現に向けたプロセスを論理的に整理するためのフレームワークであるロジックモデルもよく利用されています。

アドボカシー活動

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アドボカシー活動とは、社会的弱者やマイノリティの権利を擁護するため、彼らの主張を代弁し、政治・経済・社会などに訴えかける活動のことです。権利擁護活動や政策提言活動ともいいます。 アドボカシー活動の目的は大きく分けて2つあります。1つは社会的弱者やマイノリティの問題解決のため、現状の政策を変えるように行政などに直接訴えかける「政策提言」です。 もう1つは、社会課題解決のため、現在起きている課題を可視化し広く知らしめる「広報活動」「啓蒙活動」です。 アドボカシー活動の多くはNPO法人などの非営利団体が中心となって展開されていますが、近年はSDGs(持続可能な開発目標)が策定され、企業では社会課題解決を目的としたビジネスを展開する例が増えています。ビジネスへの賛同者を増やすためにも企業のアドボカシー活動が重要となっています。

シード期

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ベンチャー企業は、成長段階によって「シード期」「アーリー期」「ミドル期」「レイター期」の4つのステージに分類されます。 シード期は、起業前あるいは起業直後でまだ本格的な事業を展開していない時期、つまり成長する前の種(シード)の時期のことです。プロダクト・サービスのアイデア・仕組みを考えたり、事業を展開するための準備を進めたりしている段階であり、今後の土台となる重要な時期といわれています。 アーリー期は、立ち上げた事業が軌道に乗るまでの期間のことです。事業を認知、拡大させるためにさまざまなコストがかかってきますが、まだビジネスが軌道に乗っていないため、赤字になるケースがほとんどです。 ミドル期は、プロダクト・サービスが市場で認知されはじめ、ビジネスが軌道に乗りはじめた段階です。組織の規模拡大やマーケティングなどに注力し、今後長期的に経営が続けられるような戦略を実施します。レイター期は、すでに一般的に認知され、持続的な拡大が見込める段階です。事業も黒字化しているケースが多く、上場を目指したり、新たな事業を立ち上げたりします。

産学官連携

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産学官連携とは、民間企業(産)、大学・研究機関(学)、行政(官)の3社により、共同研究や民間企業と大学を行政を結ぶといった連携を行うことです。大学や研究機関が持つ研究成果や技術を、新たな製品の開発や地域の課題解決などに活用するといった取り組みが目立ちます。 産学官連携は主に文部科学省が推進している施策であり、「官民イノベーションプログラム」や「スタートアップ・エコシステム拠点都市」といった目玉となる取り組みも行われています。 官民イノベーションプログラムは、国立大学と民間企業の共同研究開発の推進や大学発ベンチャーの創出を目的とした事業です。東北・東京・京都・大阪の4つの国立大学に国が1,000億円を出資し、各大学ごとにファンドを組成し、大学発ベンチャーの出資・支援を行っています。 スタートアップ・エコシステム拠点都市は、自治体・大学・民間組織を構成員としたコンソーシアムを国が支援することで、スタートアップの創出・成長、そしてユニコーン企業の輩出を目指す事業です。

ディープテック

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ディープテック(Deep Tech)とは、具体的な製品・サービスとしての形が見えていないものの、形にできれば世界を変革できる可能性を持つ最先端の技術(テクノロジー)のことです。多くは大学などの研究機関や企業などで研究が続けられています。「深いところに眠っている技術」「深く根ざした問題を解決できる技術」といった意味合いを持ちます。 ディープテックを製品・サービスとして実現させるには、高度なスキルや、膨大な資金・時間が必要となります。さらには短期的な成果が出るものではないため、投資家などの目があまり向けられていませんでした。しかし、SDGs(持続可能な開発目標)の策定もあり、世界の根深い課題を解決する方法が求められ、その対象としてディープテックが注目されています。 ディープテックは研究機関などが開発した最先端技術を基盤とするため、大学発ベンチャーが中心となって事業を展開しています。

バーンレート

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バーンレートとは、企業が1カ月あたりにどれだけのコストを消費しているかを表す指標です。資金燃焼率や現金燃焼率とも呼ばれます。 企業設立時の資金がなくなるまでの猶予期間のことをランウェイと呼び、これを計算する際にバーンレートは用いられます。スタートアップでは事業が軌道に乗るまで赤字経営が続くため、バーンレートを把握し、いつ資金が尽きてしまうのかを頭に入れて経営することが重要です。 バーンレートにはグロスバーンレートとネットバーンレートの2種類があります。グロスバーンレートは、ひと月あたりのコストの合計です。ネットバーンレートは、ひと月あたりのコストから売上を引いたものです。 実質的なコストを表しているのはネットバーンレートの方であり、こちらを一般的にはバーンレートと呼んでいます。 ネットバーンレートの計算方法は「総コスト÷期間-売上」です。

ロジックモデル

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ロジックモデルとは、事業・組織が目指す変化・効果の実現に向けたプロセスを論理的に整理するためのフレームワークです。事業の設計図ともいわれます。 ロジックモデルでは、事業の「ヒト・モノ・カネなどの資源(インプット)」→「活動(アクティビティ)」→「直接の結果(アウトプット)」→「成果(アウトカム)」の因果関係を図式にします。ポイントはまず「成果」から逆算して考えるところにあります。 具体的には、最終的な目標を明確にし、その達成のために必要となる途中の成果(中期成果・短期成果)、成果を生み出すために必要な活動、活動に必要な資源を図式に整理します。 「成果」から逆算して考えるという特徴から、社会的インパクトを意識した事業の設計やその評価のためにも活用されています。

PSF

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PSFとは、Problem Solution Fitの略語で、顧客が抱えている問題(Problem)と企業が提供している解決策(Solution)がフィットしている状態のことです。わかりやすく言い換えると、企業が顧客の課題解決に役立つプロダクトを提供できている状態のことです。ほとんどの顧客は抱えている課題を解決するためプロダクトの購入・利用を検討するため、PSFを目指すことで、顧客に選ばれるプロダクトとなります。 PSFの次に目指す段階をPMFといいます。PMFはProduct Market Fitの略語で、顧客を満足させるプロダクトが適切な市場(Market)に提供できている状態のことです。スタートアップの成功には「顧客を満足させるプロダクト」と「適切な市場の選択」が重要であるため、多くの企業はPMFを目指しプロダクトを検証していきます。

チャーンレート

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チャーンレートとは、解約率や客離脱率、退会率のことで、チャーンと略されることもあります。 SaaSビジネスなど月額制のサービスを提供するビジネスであるサブスクリプションビジネスでは特に重要な指標です。サブスクビジネスでは、顧客に長く使ってもらうほど利益が出るため、チャーンレートは売上に直結した指標といえます。 チャーンレートを計測して分析することで、継続利用しているユーザーの割合や、ユーザーを1人獲得するのにかかるコスト(CPA)、ユーザーの離脱が収益に与える影響などを把握することが可能です。 ユーザーが解約する理由は様々ですが、サービスに不満があるなど、自社の対応で事前に解約を防げる場合もあります。チャーンレートを改善するには、解約手続き時にアンケートをとるなど、解約理由を把握することが重要です。

カーブアウト

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カーブアウトとは、大企業や中堅企業が自社事業の一部門を切り出し、ベンチャー企業として独立させることです。成長戦略として、あるいは不採算事業からの撤退を目的として実施します。成長戦略としては、現時点では急激な成長が見込めないものの、将来的な成長の可能性がある事業を戦略的に切り離し、外部のファンドや金融機関から資金調達を行って事業の成長を目指します。 カーブアウトのメリットには、社内に眠っている技術や特許を活用できること、それらの事業化に情熱を燃やす人材に場所を与えられることなどが挙げられます。 カーブアウトに似た言葉に、スピンオフやスピンアウトがあります。スピンオフはカーブアウトによって切り出された企業が元の企業との資本関係が継続している状態であり、社内ベンチャー制度で設立された企業などが該当します。スピンアウトはカーブアウトによって切り出された企業が元の企業との資本関係がなくなるものをいいます。

SDGsウォッシュ

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SDGs(持続可能な開発目標)とは、2015年9月の国連サミットにおいて全会一致で採択された国際目標です。2030年までに持続可能でより良い世界をつくることを目指しており、貧困・教育・ジェンダーなど17のゴールと169のターゲットが設定されています。 SDGsは広く消費者に知られるようになったことで、SDGsに取り組んでいる企業が積極的に評価されるようになりました。そのため企業にとってSDGsへの取り組みはブランディングや付加価値のひとつにもなっているのですが、SDGsウォッシュという新たな問題も生まれています。 SDGsウォッシュとは、SDGsに取り組んでいないのに取り組んでいるように見せかけたり、実態以上に取り組んでいると見せかける行為のことです。SDGsのメリットだけを享受しようとする不正行為として自覚的に行われるものもあれば、SDGsへの理解不足から不可抗力的にSDGsウォッシュになってしまう例もあります。 SDGsウォッシュが消費者に指摘されてしまうと、その企業の信頼は大きく低下します。それは企業が意図していないSDGsウォッシュであっても同様であるため、SDGsに取り組む際には、専門知識を身に着け、誠実に実施し、情報を発信する必要があります。