用語集

起業・スタートアップに関するキーワードをご紹介します。

MRR

経営・事業戦略 

MRR(Monthly Recurring Revenue)は、毎月継続的に得られる収益(売上)のことです。日本語では「月次経常収益」といいます。 クラウドサービスとして提供されるソフトウェアであるSaaSなどのサブスクリプションビジネスでは、事業の安定性や成長率を判断するために特に重要な指標のひとつです。MRRは「提供する月額料金プラン×顧客数」というシンプルな計算で求めることができます。顧客に条件を設定することで、より細かく分析することが可能です。 条件によってMRRは「New MRR」「Downgrade MRR」「Expansion MRR」「Churn MRR」の4つに分けられます。 MRRは月単位の指標ですが、年単位の指標であるARR(Annual Recurring Revenue)もあります。こちらは年間契約が多いBtoBビジネスなどで利用されています。

ESG投資

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ESG投資とは、財務情報だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の要素も考慮した新たな投資のトレンドです。社会的な課題の解決を目指す企業こそが中長期的に成長するという考え方に基づいています。 2006年に国連のアナン事務総長が、投資の意思決定にESGを取り入れる「責任投資原則(PRI)」を提唱したことがきっかけでESG投資が認識されるようになりました。その後、2008年のリーマンショックもあり、短期的な利益を追求する経営・投資が批判されたことで、世界中の投資会社・投資家に注目されました。 さらに2015年9月の国連によるSDGs(持続可能な開発目標)の採択もあり、ESG投資は大きなトレンドとなっています。ESGに消極的な企業は投資対象から外れてしまうこともあり、企業はESGに積極的に取り組むようになっています。

デューデリジェンス

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M&A(企業の買収と合併)などの際、買収対象の企業の財務などの情報を入手し、企業価値やリスクなどを詳しく調査します。これをデューデリジェンスといいます。 一般的なM&Aのプロセスでは、買収対象企業が自社の情報を開示し、買収者はその情報を基に暫定的な買取価格を算定し、基本合意書を締結します。その後デューデリジェンスを行い、買取価格が適切であるかを判断し、M&Aの最終的な意思決定を下します。 M&Aをイグジット戦略として捉えているスタートアップなどにとっては、デューデリジェンスは乗り越える必要がある難所です。もし紛争や訴訟などの大きなリスクがあると判明した場合は、M&Aが白紙になることもあります。そのためM&Aを目指すスタートアップはしっかりとした経営基盤・内部組織を構築しておく必要があります。

M&A

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M&Aとは、合併と買収(Mergers and Acquisitions)の略語で、資本の移動を伴う企業の合併と買収を意味します。国内ではバブル崩壊後、力があるものの経営不振に陥る企業が増加しました。海外企業はM&Aという手法でこの企業を次々と買収していったことから、M&Aには身売りというイメージがついてしまいました。しかし近年は国内企業同士のM&Aが増えイメージが向上し、中小企業においても現実的な経営戦略のひとつとして定着してきています。例えば、M&Aによる事業承継がそのひとつです。中小企業では後継者問題が深刻化していますが、M&Aでは譲渡先企業・経営者の合意があれば社内風土の変更や従業員の解雇を伴わずに、会社を引き継ぐことができます。国・自治体は力のある中小企業が後継者不足を理由に廃業してしまうことを問題視しており、自治体などによるM&A支援も広く展開されるようになってきています。

BOPビジネス

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世界の所得別の人口構成をグラフ化すると、下から低所得者層・中間層・富裕層のピラミッド構造になります。この一番下の低所得者層をBase of the Pyramid(BOP)と呼びます。 BOPの定義は様々ですが、一般的には、購買力平価(PPP)ベースで年間所得が3,000ドル未満の層のことを指します。この層は世界人口の約7割、つまり約40億人存在するといわれています。 BOP層は生活コストにおいて不利益を被っています。例えば、低所得が理由で交通の便が悪い場所に住まざるを得ず買い物のために交通費がかかることなどが挙げられます。これをBOPペナルティといいます。 こうしたBOP層の不便・不利益を解消し、有益なプロダクト・サービスを提供するビジネスをBOPビジネスといいます。SDGsの推進だけでなく、将来的な中間所得層であることや競合がまだ少ないことから、新たなマーケットとしても注目が高まっています。 BOPビジネスの例としては、ユニリーバが挙げられます。ユニリーバはインドの貧しい農村部を中心に、使い切り石鹸などのBOP層でも購入できる日用品を販売しました。さらに、現地の女性を販売員として雇用することによる雇用の創出や、衛生関連の教育セミナーを開催しました。これによりユニリーバ独自の流通網を獲得しています。

バックキャスティング

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バックキャスティング(Backcasting)とは思考法のひとつです。未来のあるべき姿を描き、その未来に至るための道筋や施策を考える思考法のことです。逆算思考と呼ばれることもあります。バックキャスティングには、現状にとらわれないアイデアの創出や、選択肢が広がること、長期的な目標を立てられることなどのメリットがあります。 バックキャスティングによって示された目標の有名な例が「SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)」です。 バックキャスティングの反対となる思考法に、フォアキャスティング(Forecasting)があります。フォアキャスティングは現在を起点として、抱えている課題にどのような改善を行えるのかを考え、それを積み上げていき地道に改善をくり返していく思考法のことです。現状の問題点の改善や、失敗のリスクが低いことなどのメリットがあります。

ポンジ・スキーム

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ポンジ・スキームとは、投資詐欺(詐欺的な投資勧誘)のひとつです。集めたお金を実際には運用せず、配当金という名で還元することで投資家の信用を得てお金を騙し取る詐欺の手口です。 具体的な手口としては、月利30%といった高配当を掲げて投資家からお金を募り、お金を運用するふりをしてそのお金を配当として還元します。ただ集めたお金を横流ししているだけであるため、いつかは資金が枯渇し配当金を支払えなくなって破綻します。そのため新規顧客から出資させたお金を既存出資者に配当することで破綻を先延ばしにします。実際に高額な配当が得られるため口コミによって出資者が増えていき、そして新規顧客が減り、スキームが回らなくなってきたところで、詐欺師は雲隠れし巨額のお金を騙し取ります。 シンプルな手口ですが国内の投資詐欺において最も被害数の多い詐欺といわれています。高配当・高利回り、元本保証、一定期間出金ができないといった特徴があるため、少しでも怪しいと思った投資案件には手を出さないようにすることが肝心です。

プロボノ

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プロボノとは、職業上のスキルや専門的な知識を用いて行うボランティア活動のことです。ラテン語の「公共善のために」を意味する「Pro Bono Publico」が語源です。 もともとは1980年代のアメリカやイギリスの法曹界において、弁護士費用を払うのが難しい人に対し、法曹界全体で無償ので法的な支援を行ったことがプロボノのはじまりといわれています。 国内では プロボノの推進活動を行うNPO法人が2010年をプロボノ元年と定義してPR活動をはじめ、NHKに取り上げられています。2011年の東日本大震災によって注目が高まり、それ以降、金融・営業・マネジメント・広告・クリエイティブ・ITなどさまざまな領域のプロフェッショナルが、自身の本業の延長としてボランティア活動に参加することが増えています。 プロボノのメリットとしては、自分の得意分野で社会貢献できる、スキルアップにつながる、人脈を広げられる、自分の力量を見極められるなどが挙げられます。

スピンオフ

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ビジネスにおけるスピンオフとは、企業・組織から一部の事業部門を切り離し、独立させることを意味します。通常、事業部門を切り離すと、切り離したぶんの事業部門の価値だけ株価が下がり、株主に損失が発生する可能性があります。しかし、スピンオフで設立した子会社の株式を親会社の株主にすべて分配するため、株主に損失が発生することはありません。 スピンオフは、ベンチャー企業が大きくなった組織をグループ企業として再編する場合や、大企業がリスクの高い新たな事業に取り組む場合に利用されています。 また、親会社との関係が薄い、もしくは関係がない別会社を設立することをスピンアウトと呼んで区別しています。 スピンオフやスピンアウトと似た意味の言葉にカーブアウトがあります。スピンオフと同じく企業・組織から一部の事業部門を切り離し独立させることを指しますが、外部のファンドや金融機関からの資金調達を伴う点がスピンオフと異なります。

ランニングコスト

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ランニングコストとは、設備や建物をの維持するために必要となる費用のことです。運用費・運転費・経営費などと呼ばれることもあります。 例えば自動車(社用車)。自動車を利用するためにはガソリン・車検・メンテナンス・保険などが必要となり、このガソリン代やメンテナンス費用など継続してかかってくる費用をランニングコストといいます。一度の出費は大きくないものの、設備や建物を利用している限り発生するものであるため、どんどん費用が積み重なっていきます。そのため、後々予算不足になってしまわないよう、あらかじめ計算することが肝心です。 ランニングコストの対義語であるイニシャルコストもビジネスではよく利用される言葉です。イニシャルコストはいわゆる初期費用のことです。設備の購入費や事業をはじめる際に必要となる費用など、一度だけかかってくる費用をイニシャルコストと呼びます。

IRR

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計算、計算方法、関数 IRRとは、Internal Rate of Returnの略語で、日本語では内部収益率といいます。投資判断のための重要な指標のひとつで、簡単にいえば、投資期間内の利回りがいくらになるかというものです。得られたお金を再投資する場合、早期に得られたお金のほうが生んでくれる収益が多くなるため価値が高くなります。このお金の時間的な価値を考慮した指標がIRRです。 事業の成長のためには事業への投資が必要不可欠であるため、投資判断は経営において重要なものです。そのためIRRなどの指標を利用して意思決定を行います。 IRRの計算は投資期間が長ければ長いほど複雑になります。しかしエクセルなど表計算ソフトではIRRの計算方法として専用の関数が用意されているため、このIRR関数を使うことで簡単に計算できます。

アップサイクル

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アップサイクルとは、本来捨てられてしまう物に付加価値をもたせ、新たな製品としてアップグレードさせることです。創造的再利用とも呼ばれています。廃タイヤからサンダルを作ったり、野菜の芯や皮から野菜ペーストを作ったりする例があります。 アップサイクルと対になる概念にダウンサイクルがあります。こちらも廃棄物を新たな製品にする取り組みですが、もととなった物から価値が下がる、つまりダウングレードする点が異なります。例えば、毛羽立ったタオルを雑巾にすることなどがダウンサイクルにあたります。 アップサイクルはSDGsにおける取り組みの一環として環境負荷を減らすことに役立ちます。環境に優しい商品や取り組みは消費者への訴求力もあるため、多くのプロダクトやブランドが誕生しています。